2013年2月18日月曜日

環境や気候による土の違い


教えることが難しい違い
昨年末から年始にかけてのオーストラリアの滞在は、初めてビクトリア州に行く機会がありました。そこで家庭菜園などをしてる方向けに、実際の庭を使っての土のワークショップ。それと日本人の方がやっているNPO団体でのイベントで講演をして来ました。

しかしビクトリア州は初めてで、菜園といってもどういう環境なのか、何も知らない所ということで、2週間程度の滞在だったので、できるだけ色んな場所の特性を聞いたり、見に行ったりしました。 
初めての環境では、どういうふうにして管理すれば良いのか、イメージすら湧きません。調べてみて分かったことですが、ビクトリア州は土が元々あまり良く無い場所が多い。

こういう環境で、どういうふうに菜園をすれば、持続的に環境に良い影響を与えながら菜園ができるか。何も知らない場所でいきなり教えることは難しいものです

できたばかりの菜園の例:ビクトリア州 
ものすごく手を加えないとできない


夏の森の中なのに
下の写真は夏に入ったばかりの、人が散歩する程度しか手が加わっていない森の中です


夏に向かっている森の中の様子

ここで見て分かるように、日本の森とは全く違った環境です。乾燥していて、緑が少ない、樹種も限られていて、緑の草も特定の品種数種のみ。見た感じ秋の終わりのような景色です。
「乾燥林」と呼ばれる植生で、雨量は年間約600ミリと少なく(東京は約1530ミリ)、雨が極端に降らないため、乾燥に耐えることができる、植物が残ってできているのがこの環境です。

ここでは当然水は貴重な資源です。それに土を考えても、かなり過酷な環境です。
日本の夏にこのような環境の場所があれば、すぐに緑の植物に覆われてしまうでしょう。しかしこの状態。
植物が育たないということは、有機物が土に還元される量も、極端に少ない。植物の根などの残さも少ないので、土の有機物が少ない状態のようでした。

その結果カチカチの空間のない、通気、排水も悪い土が出来上がります。
表土の通気性は悪く、乾燥して固まっている


この環境の土は、固くて手では掘れません。このような環境のため、一度植生を壊してしまうと再生が難しく、土の劣化も止まらなくなります。そのため、市から調整区域が策定されていて、1本でも木を簡単に切ることができない場所です。


日本の環境からすると、全く違う環境。もちろん国内でも、環境は様々ですが、気候帯まで完全に違うと、思いもよらないものが、多くあることに改めて気づけました。
調べて理解してからでないと、同じように考えていたら、教えることも伝えることもことができません。

そこに暮らしてきた人たちの方が知っていることは多いので、やはり違う環境に行った時には、教えるのではなく、一緒により良い土をつくっていく解決策を考える、というスタンスが一番大切になるはずです。




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